初手からの指し手 ▲2六歩、△3四歩、▲2五歩、△3三角、▲7六歩、△2二飛(第1図)

4年くらい前に、将棋ソフトを使って第1図を調べたのですが、最近新しい将棋ソフト「水匠4改」を使って、改めて調べたところ前回と違う手が出てきていましたので、もう一度検討してみたいと思います。 なお、検討には将棋ソフト水匠4改を使用し、PCスペックはAMD Ryzen 7 3700X、RTX20です。
第1図からの指し手 ▲3三角成、△同桂、▲6五角(第2図)
第2図は、現在では先手が十分というのが定説になったようです。ただ、最近でもプロの実戦で第1図から▲9六歩、△4二銀、▲9五歩と進んだケースもあり、先手が乱戦を避ける場合もあるようです。

第2図からの指し手 △4五桂、▲4八銀、△5五角、▲9八香、△9九角成、▲7八銀
▲4八銀以外の受け手は以前の記事にあります。

第3図で後手の候補手は、➀△4二飛、➁△4二銀、➂△5四歩、➃△9八馬の4種類です。順次将棋ソフトで調べていきます。➁△4二銀は以前はソフトの候補手になかったと思います。
第3図からの指し手➀ △4二飛、▲8三角成、△9八馬、▲5六馬、△8四香、▲4五馬、△8七香成、▲同銀、△同馬、▲3九銀、△8八歩(第4図)
△4二飛の変化は前回調べた時と大きな変化はなく有力。第4図の直前▲3九銀で▲8四歩、▲8四香等攻める手もあるが、結局▲3九銀に手が戻るので、今回第4図で30分以上時間をかけてソフトに検討させたが、時間の経過とともに評価値、候補手ともに揺れ動いたため決定的に先手が良くなる手順はないようだ。

最後に示された候補手は以下のとおりですが、評価値400点前後は、先日の順位戦B級1組の近藤誠也vs藤井聡太戦で近藤7段が勝ちきれなかったことを見ても、アマではほぼ互角と考えて良いのではないかと思います。
第4図からの指し手の例
a.▲8四香、△8九歩成、▲8一香成、△7七馬、▲6八金、△8六馬
b.▲7五桂、△5二飛、▲7八金、△7六馬、▲6三桂成、△8二飛 (▲7五桂に△7二銀もあり)
c.▲7八金、△7六馬、▲7七桂、△8九歩成、▲8三歩
第3図からの指し手➁ △4二銀、▲8三角成、△5七桂成、▲同銀、△8八歩
△4二銀と堅く受け、△5七桂成から△8八歩が今回初めてみた手。先手側も飛車の横効きがとおったのは大きい。

第5図からの指し手 ▲7七桂、△8九歩成、▲5六馬(5の2図)

5の2図からはa.△8八とb.△3二金が候補手
a. △8八と、▲6六馬、△7八と、▲同金、△3二金、▲8八金(第6図)
先手はこの後▲6九玉、▲7八玉、▲8九金と馬を殺す手段がある。

b. △3二金、▲6六馬、△2一飛(第7図)

この後強襲がある。
第7図からの指し手 ▲2四歩、△同歩、▲2二歩、△同飛、▲同馬、△同金、▲4六桂(第8図)
第8図の▲4六桂が受けづらい。ただ、評価値は300くらいで互角の範囲内である。△2二同飛では、△同金もある。第8図では△3二金か△2一金だが先手の攻めが続きそうだ。

第3図からの指し手➂ △5四歩、▲8三角成、△9八馬、▲5六馬、△ 8四香、▲4五馬、△8七香成、▲同銀、△同馬 (第9図)
△5四歩は個人的に有望と考えていたが、なかなか難しい。第9図では△4二飛との比較が問題である。
第9図からはa.▲3九銀、b.▲84歩、c.▲8四香、d.▲7五桂などがある。

第9図からの指し手 a.▲3九銀、△8二飛(第10図)
△4二飛の時と同様に▲3九銀とすると△8二飛がある。

第10図から▲8八香と打つと△同馬、▲同飛、△同飛成、▲3三角、△4二銀、▲8八角成、△8五飛(第11図)
第11図で△5五馬と寄れないため先手がハマる。➂5四歩ではなく➀△4二飛の場合は先手が良い。

第10図から▲8八歩としても△7六馬、▲7八金、△3二銀(12図)で形勢は完全に互角となる。

したがって先手▲3九銀はまずく、すぐに攻める手が正解である。以下将棋ソフトの候補手を書く
第9図からの指し手
b.▲8四歩、△8八歩、▲8三歩成、△9九不成、▲3九銀、△7六馬、▲3四馬、△3二飛
c.▲8四香、△8八歩、▲8一香成、△3九銀、▲6二銀
d.▲7五桂、△8八歩、▲6三桂不成、△4二玉、▲7一桂成、△同金、▲3九銀、△8九歩成、▲5四馬
b.▲8四歩は評価値400を超えており、非常に手が広い局面だが、先手が押しており、後手の△5四歩も他の指し手と比較して評価値上大差はなかった。
第3図からの指し手➃ △9八馬、▲4三角成、△8八馬、▲4六歩(第13図)
△9八馬は▲4三角成と好所に成られるため選びにくい手だが、銀河戦折田アマvs窪田義行7段で窪田義行七段が指した手なので候補としました。実戦は後手が△6二玉とした。

第13図からの指し手 △6二玉、▲7七桂、△4二飛、▲3四馬、△3七桂成、▲同桂、△4六飛(14図)
第14図で一見後手好調だが、以下▲4五桂から▲6五桂がきつく後手が大変だったようだ。窪田七段はどこかに見落としがあったようで不出来な一局になってしまいました。

第13図からは△4二飛、▲3四馬、△5五馬で(第15図)また単に△5五馬、▲4五歩、△同馬、▲5三馬もあったようだ。

評価値390位
第3図での後手の候補手➀△4二飛、➁△4二銀、➂△5四歩、➃△9八馬の4種類を 調べましたが、どの変化も評価値でいうと300から400前後となり、先手やや優勢ということになりました。△5四歩が意外によくなかったのが残念です。ただ、アマ同士なら十分指せる形勢だと思いますので、力戦を好む方は採用してみてはいかがでしょうか。また、先手番で3手目▲7七角とするのは優秀な戦法でおすすめです。