角交換四間飛車の相振り飛車の序盤➀

相振り飛車は三手目▲6六歩から下図のスタートが多かったが、先手は受け身になりやすいため相振り飛車を好まない人も多かったと思う。

 角交換振り飛車が流行する前は相振り飛車のスタートはほとんどがこの図だった。

三手目▲6八飛とする角交換四間飛車の流行後は先手は相振り飛車を避ける必要がなくなり、むしろ後手の指し方が難しくなったようだ。先手は角道オープンでスタートし、どこかで▲6六歩とすることも可能である。

今回から先手角交換振り飛車の相振り飛車の序盤の指し方を「角交換相振り飛車ガイド」(杉本昌隆著)、「わかる、勝てる、現代相振り飛車」(高崎一生著)、「相振り飛車の最重要テーマ14」(黒沢怜生著)を参考にし将棋ソフトを使用して検討してみたい。

初手からの指し手 ▲7六歩、△3四歩、▲6八飛(第1図)

第1図から後手の指し手は、➀向かい飛車を目指す△2四歩、➁三間飛車の△3二飛、➂同じく三間飛車の△3五歩、➃四間飛車同型の△4二飛、➄先手の出方を見る△1四歩が考えられる。順次調べていきたい。

△2四歩の向かい飛車

第1図からの指し手 △2四歩(第2図)

第1図で△2四歩は、プロ間で実戦例の多い指し方。先手はA.▲4八玉から▲3八玉、B.▲2八銀が候補手である。

A.▲4八玉から▲3八玉

第2図からの指し手▲4八玉、△2五歩、▲3八玉で第3図。

先手は▲4八玉から玉を囲い後手は向かい飛車への転換を狙う。後手は第3図から▲8八角成、△同飛、▲2二飛としたいが▲6五角がありやや無理なようだ。

第3図からの指し手 △5四歩で第4図

△5四歩は先手からの▲6五角に備えたもので、こう指すのが相場のようだ。

後手△5四歩は必要な手

・△5四歩に代えて△8八角成の変化

第3図からの指し手、 △8八角成 、▲同銀、△2二飛 、▲6五角、△5四角、▲8三角成で(変化1図)

変化1図で後手は2筋方面で馬の代償を求めるよりないがうまくいかない。a.△2六歩、b.△2七角成を調べてみる。

なお、1筋の歩の突き合いがある場合は、後手有望な変化もあるので、後の➃1四歩の記事で書く予定です。

a.変化1図より△2六歩、▲同歩、△同飛、▲2八銀、△2七歩、▲3九銀、△7六角、▲5六馬、△5四角、▲3四馬で(変化2図)

先手十分

b.変化1図より△2七角成、同玉、△2六歩、▲3六玉、△3五歩、▲同玉、△2七歩成、▲5五角、△3二飛、▲4六玉、△2二銀、▲2四歩で(変化3図)

駒得が大きく先手優勢

変化2図、変化3図とも先手十分であり、第4図の△5四歩はこの歩が負担になる心配はあるが、やむを得ないと思われる。

第4図からはa.▲8六歩、b.▲5八金左が候補手である。

a.▲8六歩

第4図からの指し手 ▲8六歩(第4の2図)

 ▲8六歩は杉本8段推奨の指し方で有力。後手はⅠ.△8八角成、Ⅱ.△4四歩、Ⅲ.△8四歩、Ⅳ.△3二飛などが考えられる。

Ⅰ.△8八角成

  第4の2図からの指し手  △8八角成 、▲同飛、△2二飛、▲8五歩、△7二金、▲8四歩、△同歩、▲同飛、△8三歩、▲5四飛(第5図)  

先手が手順に8筋に飛車を回せたため後手陣が立ち遅れており、先手有利。

先手有利

 第5図は先手うまくいきすぎているようだ。将棋ソフトによると後手△7二金では、△6二玉がまだしもだ。

△7二金に代えて△6二王の指し手  △6二玉、▲8四歩、△同歩、▲同飛、△8二歩、▲5四飛、△8七角で(第6図)。

以下▲7八銀、△7六角成、▲8四飛等が考えられる。先手十分だが互角の範囲

 Ⅱ.△4四歩

  第4の2図からの指し手 △4四歩(第7図)

△4四歩は△5四歩の後だけに指しにくいが、角交換を避けて向かい飛車にする意図である。

第7図からの指し手 ▲6六角、△4二銀、▲8五歩、△3三角、▲8八飛、△5三銀、▲5六歩、△2二飛(第8図)

▲6六角が現代風の指し方で双方向かい飛車になる。

第8図からの指し手 ▲8四歩、△同歩、▲同飛、△8二歩、▲7七桂、△6二玉、▲6八銀、△7二玉(第9図)

形勢互角だが、先手十分と思われる。

Ⅲ.△8四歩

第4の2図からの指し手 △8四歩

▲8六歩を伸びすぎと見て、△8四歩または△6二銀と居飛車にする手もある。以下力将棋になるが一例として杉本8段の本の指し手を示す。後手は△2五歩と指しているのでまとめにくい。

第10図からの指し手▲2二角成、△同銀、▲7七桂、△6二銀(第11図)

第11図からの指し手 ▲8八飛、△4二玉、▲6八銀、△3二玉、▲2八玉、△7四歩、▲3八銀、△7三桂、▲5八金左、△3三桂、▲5六角、△4四角(第12図)

形勢互角だが先手十分

Ⅳ.△3二飛

第4の2図からの指し手 △3二飛(13図)

△3二飛は女流王将戦第3局で里見さんが指した手(先手の玉型が少し違う)。先手がいずれ▲2二角成から▲8八飛とするとみて手得を狙い様子を見た意味と思う。

第13図からの指し手 ▲8五歩、△6二玉、▲7七角、△7二玉、▲4二銀(第14図)

実戦では▲7七角で▲2二角成、△同飛、▲8八飛の手順で進行した。

形勢互角で△3二飛は後手にとって有力な構想と思う。

今回は先手a.▲8六歩までで、次回はb.▲5八銀左を調べていく。

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