先手7八飛戦法の相振り飛車 リコー杯女流王座戦第2局から

11月15日にリコー杯女流王座戦第2局が行われ、先手初手7八飛戦法からの最新の相振り飛車戦となりましたので、棋譜を調べて相振り飛車の指し方を学びたいと思います。検討は将棋ソフト水匠4改を使用しています。

本局の前の里見・西山戦の対戦成績は西山13勝、里見11勝です。里見さんはずっと西山さんに押されていましたが、先日の女流王将戦で番勝負で初めて勝利し、自信を取り戻しているようです。将棋の内容も好調を維持していると思います。

初手からの指し手 ▲7八飛、△5四歩(第1図)

先手の初手▲7八飛に対して後手△5四歩は先手中飛車からの相振り飛車の手順を応用したもので、里見さんの事前に準備した作戦と思います。この戦型の相振り飛車は角交換になることが想定され、角交換型では後手も向かい飛車にしたいのですが、後手が2手目△3四歩と普通に指すとA図になります。

変化手順 初手からの指し手 ▲7八飛、△3四歩、▲6八銀、△3三角、▲7六歩、△2二飛(変化A図)

変化A図からは、▲3三角成、△同桂、▲6五角とする手があり、△5四角で(変化B図)

変化B図からは互いに馬を作りあう展開となり形勢互角ですが、後手も好んで指す形ではなく、A図の△2二飛の向かい飛車は選択しにくいと思われます。

実戦の手順 第1図から、▲7六歩、△4二銀、▲6八銀、△5三銀、▲4八玉、△3四歩(第1の2図)

後手は5三銀型で6五角の筋をケアする周到な作戦です。ここから互いに飛車を移動し第2図。

互いに角が向かい合ったまま向かい飛車にし、先手は金無双、後手は美濃囲いを選択しました。

以下48手目の局面が第3図

ここで、先手の西山さんは▲9四歩と端に手をつけました。以下△同歩、▲9三歩、△同桂、▲9四香、△7四金以下と進み、後手玉頭でのもみ合いが続いて64手目の局面が第4図。

第4図 西山さんの感想では、ここで▲6五香は△同銀▲同飛に△9三歩で攻めが見えなかったということですが、▲3二銀、△2二飛、▲4三銀成となれば互角の形勢だったようです。本譜は▲9五飛で▲9九香に期待しましたが…。

第4図からの指し手 ▲9五飛、△3五桂(4の2図)

▲9五飛に△3五桂が好手。これに対して▲3九桂と受ければ、△9一香、▲9四歩で互角の展開だったようですが、西山さんは攻め合い勝ちとみて▲9九香と踏み込みました。

第4の2図からの指し手 ▲9九香、△2七桂成、▲同銀、△同飛成、▲3九玉(第5図)

△2七桂成、▲同銀、△同飛成に、▲3九玉と引いて先手玉もすぐには寄りません。

第5図からの指し手 △7一玉、▲5四桂、△8一銀(第6図)

△8一銀が受けの好手で▲9一飛成には△8二銀打で受かっています。里見さんは読み筋だったようです。

第6図からの指し手 ▲8二歩、△同銀、▲9四桂、△9三銀、▲8二金、△同銀、▲同桂成、△同玉、▲9二飛成、△7一玉(第7図)

西山さんも必死の食いつきを見せますが、△7一玉で寄せがなく大勢決して以下いくばくもなく後手の勝利となりました。第7図から▲8二銀、△7二玉、▲8一竜としても△6三玉、▲6一竜、△5四玉のC図となり寄せはありません。

初手7八飛からの最新型の相振り飛車で、見ごたえのある熱戦でした。里見さんは序盤に研究をみせて、終始冷静な指しまわしが光り、手が良く見えている印象でした。西山さんは勝ちとみて踏み込んだところに誤算があり残念な結果になりましたが、後を引く負けかたではなかったと思います。今後もタイトル戦の戦いが楽しみです。

リコー杯女流王座戦第2局の棋譜はこちらです。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です