四間飛車穴熊 相穴熊の棋譜

四間飛車穴熊は、以前広瀬八段が得意としていて、王位のタイトル獲得の原動力となりましたが、最近は居飛車党に変身し指さなくなってしまいました。青嶋五段は居飛車、振り飛車を両方指し、振り飛車は四間飛車穴熊を採用することが多いようです。今回は王座戦準決勝2017-07-14 王座戦青嶋未来 五段 vs. 斎藤慎太郎 七段の棋譜で四間飛車穴熊の相穴熊の戦型を勉強したいと思います。解説は日本経済新聞の棋譜欄からです。


第1図まで先手は▲6七銀を急ぎ、早めに▲4六歩を突いています。これは▲5六銀に後手の△4四銀を牽制する意味があったと考えられます。斎藤七段は4四歩型を選択しました。
以下は互いに穴熊に入って第3図
この型は定跡形でよく指されていますが居飛車勝が圧倒的で控室の若手棋士からは「振り飛車側を持って勝てる気がしない」等の意見も出ていたとのことです。広瀬八段の「振り飛車穴熊の最終進化」等の棋書では、振り飛車穴熊が後手の場合が書かれており、本譜は先手番のため▲9六歩と▲4九飛の両方を指しています。
第4図で△7四歩とすれば、▲6五歩から後で出てくる本譜の順の戦いに入りますが、斎藤八段は△9四歩、△9三香と準備をしてから△7四歩と突きました。この辺は後の戦いをにらんだ駆け引きです。以下定跡どおりの戦いになりましたが、後手は▲6四馬に▲8三飛とし▲7四馬に飛をぶつけて飛車角交換を挑みます。
その後、第7図△6四角と打った当たりでは居飛車がリードしたようです。
ここで、青嶋五段は、▲3二飛成、△4六角、▲3一龍、△同銀、▲6九金が第一感だったとのことですが、以下△9九飛、▲5九金打、△9七飛成、▲5八金左に△1五桂で悪いと悟りました。
以下▲3八金打にも△2四香が厳しいです。そこで▲4九飛とし後の▲4三桂に期待しました。その後穴熊戦特有の戦いが続きますが、後手の△4六歩が疑問だったようで、第8図▲2八金と埋めた手が好手で先手に望みがでてきました。
「△4六歩では△4五馬、▲2八金、△5二金、▲同龍、△4二金打で、以下△3五桂がいやだった。」との青嶋五段の感想があります。
第9図、△6九飛が斎藤八段の敗因になりました。
ここは、先に△2七香成が良く、▲同金に△1五桂を利かすべきでした。以下▲2八金、△4九と、▲4二金、△3九と、▲3二金打で変化2図
変化2図では、△2七桂不成以下長手数ながら先手玉に詰みがあるそうです。
この後、第10図の▲3九金が見事な手筋で青嶋五段が勝利しました。

青嶋五段はⅭ級2組を一期抜けした有望株です。今後も穴熊戦の棋譜に注目して行きたいと思います。

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