今回は第2図から△5五桂を調べていきます。
第2図からの指し手 ➁ △5五桂、▲4四歩、△同銀(第9図)
第9図で下手にはA.▲4九飛とB.▲6六歩の二つの指し方があります。▲4九飛は土居市太郎八段の「将棋飛落角落定跡」に載っている手で、▲6六歩は板谷八段監修の「飛落精妙」に載っている手です。いずれも有力なので紹介します。
第9図からの指し手A.▲4九飛(第 10図)
▲4九飛に対して 「将棋飛落角落定跡」 では、a.△4七歩とb.△4三金上が書かれています。c.△4三金寄と3つの手を検討します。
第10図からの指し手a.△4七歩、▲6六歩、△7四歩、▲6五歩、△7三銀、▲5九桂、△4三金寄、▲4七桂、△同桂成、▲同飛(第11図)
▲4九飛は次の▲4五銀からの攻撃を見せた手で、上手は適当な受けがなく、△4七歩は後で取られますがこれぐらいかもしれません。 「将棋飛落角落定跡」 ではすぐに▲5九桂から▲4七桂としていますが、将棋ソフトは▲6六歩、▲6五歩を入れておりこのほうが良いと思います。第11図で△7五歩なら▲6七金右とし、△5五桂には▲同銀、△同歩、▲7五歩で下手優勢です。上手は歩切れで攻めが続きません。また、3三角には4九飛として十分です。
第10図からの指し手b. △4三金上、▲4五銀、△同銀、▲同飛(第12図)
下手捌けた形で優勢です。定跡では△4七歩、▲5六桂、△5三銀、▲9七角、△4四銀打となっています。また、△4四金直、▲4九飛、△4七歩は▲5六歩です。上手は桂を狙われて困っています。
第10図からの指し手c. △4三金寄、▲4五銀、△同銀、▲同飛、△6五銀、▲3二銀、△4四金、▲2五飛、△2四銀、▲2六飛(第13図) ▲3二銀が厳しく下手優勢です。以下は▲2三銀成、△2五歩に角を取って良しです。
第9図からの指し手B.▲6六歩、△7四歩、▲6五歩、△7三銀、▲4五歩、△5三銀、▲6七桂、△同桂成、▲同銀(第 14図)
▲6七桂として目ざわりな5五桂を取り除く指し方です。これも下手優勢です。
以上で➁△5五桂を終わります。どうも上手△5五桂はあまり良い手ではないようで下手の評価値が少し上昇します。
第2図からの指し手 ➂ △5三金、▲4四歩(第15図) △5三金としても上手受けきれるわけではなく、下手が正しく攻めれば問題ない変化です。応手は3つです。
・△同金右、▲4五歩、△5五金、▲同銀、△同歩、▲2五桂(第16図)
第16図で△3二金には▲2一金で下手優勢です。▲2五桂では、▲2一金、△1三角、▲2五桂の手順もやはり下手良しで定跡書のも書かれていますが、▲2五桂で良いでしょう。
・△同銀、▲4五桂、△同銀、▲同銀、△4四歩、▲4二銀(第17図)
・△同金左、 ▲4五歩、△5五金、▲同銀、△同歩、▲5六桂 (18図)
△同金左には▲4五銀、△5五歩、▲4四銀、△同角、▲4五金、△2二角、▲4四歩、△同銀、▲同金、△5六桂という順でも良いです。18図で△6五銀は▲4四歩、△5四銀、(△5二銀なら▲5五角)▲4三金で下手勝勢です。
➂△5三金のところで△5三銀も目に付きますが、△5三銀、▲2五桂、△3二金、▲4四歩、△同銀、▲4五歩、△5五銀、▲同銀、△同歩、▲4一銀で下手優勢となります。
➂5三金は下手の攻めがきれそうもなく、上手を持って指す気のしない変化と思います。
これで基本図からⅠ.▲4五歩△、同歩、▲同桂、△4四歩を終了します。