飛車落ち定跡 第3章 6四銀型 跳ね違い定跡➁

前回第7図からの指し手➀4五飛まで書きましたので、今回は➁同成桂からです。

第7図からの指し手➁  ▲同成桂、△同角、▲4五飛、△4四角、▲同飛、△同歩、▲3四角、△6一角(第12図)

二つ目の指し方は「飛落精妙」に書かれている指し方です。上手△4四角で△7一角には▲3四歩、△3二歩、▲2五飛とする手があり、△2四桂なら▲4五銀で下手十分です。下手▲3四角に△6一角が定跡手順の受け方です。

 △6 一角に代えて△5一金には▲5二銀。△4三桂の受けには▲3三金、△6一角、▲4二歩があります。

評価値は800台で前の局面より低下。下手優勢だが難しい。

第12図からの指し手(定跡手順) ▲4一銀、△4三金、▲2三角成、△4二金、▲4三歩、△同角、▲3三金、△同金、▲同馬、△2五角、▲2六歩、3六角、▲5二銀成、△4九飛、▲5一馬、△4八成桂、▲同金、△同飛成、▲6二成銀、△8二玉、▲6一馬、△6九金、▲7一馬、△9二玉、▲7七玉(第13図)

長手順進めましたが定跡手順で、第13図の▲7七玉が妙手で下手勝です。△4二金に▲4三歩が手筋です。ただ、▲2三角成に△4二金で△5三金とする手があり、 「飛落精妙」 にも簡単に書かれていますが難解です。

・上手4二金で5三金の変化

第12図からの指し手(変化手順) ▲4一銀、△4三金、▲2三角成、△5三金(変化7図)

 ▲2三角成として次に▲5二金があります。変化7図の上手5三金に次の手が難しいところです。変化7図で▲5一金と打つ手もありますが、△2五角、▲2四馬となっても後がはっきりしません。

変化7図からの指し手 ▲3三馬、2八飛、▲5一馬、2五角、▲5二金(変化8図)

変化8図の▲5二金が妙な手ですが、上手の角の効き筋をさえぎって寄せを狙たものです。この後も難解ですが優位を保っているようです。変化8図以下△5八角成には▲6一馬、△8二玉、▲5三金。△8二玉には▲5三金、△同銀、▲5二銀成とします。

評価値911で下手優勢だが難解

・将棋ソフトでの検討

 下手▲3四角で▲2五角とする手も有力でした。(第14図)

第14図で、△3四歩なら▲同角で上手歩切れになります。また、第14図で△6一角と受ければ▲4一銀、△5一金、(△4三金が下手角に当たらない)▲6一角成、△同金、▲4三角(第15図)で下手かなり優勢です。

評価値962

以上でⅠ.△3五同銀➁▲同成桂の変化を終わります。変化7図の変化が難解でしたので、下手は➀▲4五飛を選択した方が良いと思います。

再掲載

第6図からの指し手Ⅱ.△2七成桂

 △2七成桂は▲2六飛を防いで、△2八角を狙った手で土居市太郎八段の「将棋飛車落ち角落ち定跡」に詳しく書かれています。上手は▲4四成桂のとき➀△同角と➁△同歩があります。

第6図からの指し手➀  △2七成桂 、▲4四成銀、△同角、▲同飛、△同歩、▲3四角、△6一角

 △6 一角で△5一金には▲5二銀。△4三桂の受けには▲3三金、△6一角、▲4二歩があります。

評価値は1400台

 第16図からの指し手 ▲4一銀、△4三金、▲5二金(第17図)

 第16図は、△3五同銀の変化と異なり下手の3四角にひもがついています。▲5二金に△3四金は同歩で問題ありません。

評価値1500台で下手勝勢

第6図からの指し手➁  △2七成桂 、▲4四成銀、△同歩、▲3四歩(第18図)

下手▲3四歩が軽い好手です。

 3四歩の局面は手が広いですが、 「将棋飛車落ち角落ち定跡」 に記されている手順を書きます。

第18図からの指し手 △5五歩、▲4七銀、△5四桂、▲3六飛、△4五歩、▲4四歩、△同角、▲3三歩成、△3五歩、▲3四と(第19図) ▲4四歩から▲3三歩成が手筋です。

評価値は1500台

  第18図で△3二歩なら▲3六飛、△4二金、▲3五飛、△2六成桂、▲6五銀(第20図)のように▲3五飛から▲2五飛を狙うのが良いようです。

評価値は1400台以下△1三角には
▲6四銀△3五角▲4三歩
再掲載

第6図からの指し手Ⅲ.△2四歩

   △2四歩は、山田道美九段が「裏定跡ともいうべき軽手」として紹介している手で、「△6一角の手は、私のアマチュア時代に中京のアマ棋界で盛んに研究されていた。板谷四郎先生がアマチュアの人相手に熱心に研究されていた姿がいまでも目に浮かぶ。」と書かれています。

 上手は▲4四成桂のとき➀△同角と➁△同歩があります。

第6図からの指し手➀  △2四歩 、▲4四成銀、△同角、▲同飛、△同歩、▲3四角、△6一角

   △6 一角で△5一金には▲5二銀。△4三桂の受けには▲3三金、△6一角、▲4二歩があります。

評価値は1500台。上手の
歩切れのためか?

 第21図からの指し手 ▲4一銀、△4三金、▲5二金(第22図)

 Ⅱ.2七成桂とほぼ同じで、下手の角にひもがついているのが大きいです。

下手勝勢

第6図からの指し手➁  △2四歩 、▲4四成銀、△同歩(第23図)

 第23図からの指し手  ▲2六飛、△2五桂、▲3四歩、△5五歩、▲3三歩成、△5六歩、▲同飛(第24図)

 やはり▲3四歩が良い手になります。△5五歩で△4三金としても▲3三歩成、△同金、▲3八歩、△5五歩、▲3七歩、△5六歩、▲同飛で下手優勢です。また△4三金に▲7七桂でも下手良しです。

評価値は1700台で下手勝勢。

 第24図で下手優勢です。以下上手△5五銀打には▲同飛、△同銀、▲4三歩です。

以上で跳ね違い定跡の検討を終わります。次回は将棋ソフトの新手法を紹介します。

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