詰将棋 独楽のさと

独楽のさと 北原義治作 詰将棋100局選

将棋雑誌「近代将棋」の昭和47年新年号の付録についていたものですが、ボロボロになってきたため保存の意味もあり掲載します。
故北原義治氏は、塚田賞8回「独楽のうた」(昭和37)あり。非常に有名な詰将棋作家の方でした。

序 文 「独楽のさと」に託して

棋誌の一隅に、僕の作品がささやかな座を与えられるようになって、20年たつ。一口に20年といったが、長いような、そして短いようなときの流れであった。
今、あらためてその足跡を辿ってみると、あちこちになにかの翳が遺っている。感情を持った、できの悪い愛児たちよ…。
少年時代の僕は、決して「あたりまえ」とはいえぬ環境にあった。人間不信から、世の「常識」と呼ばれるものすべてに反逆を企てた、そんな自己を強烈に表現できるものが欲しかったのかもしれない。しかし、虚しい闘いの末に得たものは、「真理」には絶対と相対の二種類があるらしい?ということでしかなかった。
そして現在、なんとなく「あたりまえ」の次元に還りたいような郷愁めいた感慨に誘われている。そんな心境で、この、二度目の作品集である「独楽のさと」に既発表作の中から100局を選んだ。
僕にとって、詰将棋はなんであったろうか?…と考えるとき、これこそ、僕の青春の挽歌であったことに思い至る。また、詰将棋は片恋にも似た、心の結晶でもあろうか。
でも、たった一度きりの青春を欺く過ごしたことを、あまり悔いてはいない。
昭和46年 初冬  北原義治

解答編はこちらです。

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