電王戦第2局を見た感想


昨日は午後からニコニコ生放送で電王戦第2局を見ました。横歩取りを予想していたのですが、先手佐藤叡王の▲2六歩対する△4二玉で角換わりに進みました。
この対局ではPonanzaの佐藤叡王への事前貸出が行われており(この点ですでにハンデ戦といるでしょう。)、人間側の事前研究に対応するため2手目に8種類の手を乱数表で決定するようにプログラムされていたうちの1手が△4二玉のようです。人間側は永瀬七段が徹底的にPonanzaの序盤の指し手を研究したとのことで、研究範囲内だったようです。
△4二玉は良い手とは言えず、先手は△4二玉を咎めるため棒銀模様に出て、序盤は先手が指しやすい将棋になったとの評価でした。その中でも第2図、第3図の2手は解説の棋士も注目していました。

△5一銀は6四歩を突かずに4三銀型をつくることで△6四角の含みを持たせたもの。

△1五歩は玉のふところを広げながら、端攻めをしづらくした。
佐藤叡王は穴熊に囲いましたが、この前後の駒組にどこか問題があったようです。▲5五歩の仕掛けに第4図△5六角、▲4八飛、△6五歩と反撃し、
▲5四歩、△6六歩、▲6八歩、△7五歩で第5図
△7五歩が控室でも指摘していた好手で攻めが切れない形。その後
△8六歩と進んでは、先手の飛車、銀の働きが悪く後手優勢がはっきりしました。佐藤叡王はまだねばれそうな局面で潔く投了しました。佐藤名人の対局態度は立派で、記者会見の受け答えも誠実で理論的というかしっかりしたもので、私はファンになってしまいました。
ともあれ、現役名人の2連敗という結果に終わり、歴代のプロ棋士達の作り上げた神話が崩壊してプロ棋士も普通の人間になったという歴史的な1局だったと思います。
写真はmtmtさんのTwitterから使わせていただきました。

PONANZAの棋譜その2 2017年 第2期電王戦第1局

2017年4月1日に行われた第2期将棋電王戦の棋譜です。今回で現在の形の電王戦は終了するとのことです。
PONANZAは2015年の12月に将棋倶楽部24に登場し、高段者を相手に69連勝無敗の成績でした。短時間の対局とはいえ、将棋の内容もすごく人間を超えたことは明らかでした。その後、2016年の第1回電王戦でも山崎叡王に2連勝しましたが、内容も圧倒的でした。
今回人間側が佐藤名人ということで、初のタイトル保持者との対局で最後を飾ることとなったのですが、PONANZAが強くなり過ぎたため勝敗の興味は減ってしまいました。ただ棋譜は、やはり怖いもの見たさで見たいと思います。この第1局も初手3八金からそれはないでしょうという感じでしたが、中盤になると普通に戻っていました。佐藤名人の仕掛けが無理気味だったようですが、先手7四歩から7七桂を見逃していたようです。
一方的になってしまいましたが、第2局は人間先手なので、良い将棋が見たいものですね。ファンとしては、もっと早く羽生さんとの対戦が見たかったですが残念です。